ニューラルネットワークとは

人工知能に関するニュースが毎日のように飛び込んでくる昨今。 特に機械学習やディープラーニングといった技術が脚光を浴びています。 そんな技術と関連の深い、ニューラルネットワークにも注目が集まっています。

人工知能分野のニューラルネットワークは、人間の神経回路の仕組みをまねる、機械学習の一手法です。 さまざまな分野でのビジネス利用が活発になり、大きな成果をあげる実例も出ています。

今回は、そんなニューラルネットワークの実用例を紹介します。

分野ごとに見る!ニューラルネットワークの実用例

株取引

1. みずほ証券の株取引システム(みずほ証券)

http://www.mizuho-sc.com/

アルゴ取引にニューラルネットワークを。

東証の取引のうち7割はコンピュータによる株式売買(アルゴ取引)です。 みずほ証券はディープラーニングを利用して、ある時刻に株価が上昇するか下落するかを予測する株取引システムを導入しています。

「予測時刻(何時に)」と「予測時間(どれだけ先を予測するか)」の2つの指標に、それぞれ専用のニューラルネットワークを用意しています。 例えば、予測時刻が「9時」、予測時間を「1時間後」と設定した場合、そのニューラルネットワークは「株価が0.5%以上上昇するか、-0.5%~+0.5%の範囲に収まるか、0.5%以上下落するか」の3通りで判定を行います。

このシステムによって、従来の手法よりも平均で+2.48%正解率改善というポジティブな成果を得ています。 今後のさらなる改善が期待されます。

2. Capitalico(Alpaca)

https://www.capitalico.com/

日々のトレーディングをAIでもっと簡単に。

Alpaca Inc.が提供する「Capitalico」は、ユーザがプログラミングなしで自動取引の仕組みを作成できるサービスです。 従来個人が株の取引をする際は、画面に張り付いてタイミングを監視するか、プログラミングが必須でした。 プログラミングの知識がない場合、その負担は相当なものです。

「Capitalico」はディープラーニングの技術を用いて投資に関するアイデアから投資アルゴリズムを生成します。 従来の株取引における負荷を大幅に取り除くことが期待できます。

不動産

3. Value(株式会社イタンジ)

https://value.heyazine.com/

不動産取引の機会をAIが最大化。

イタンジの提供する売物件価格査定・配信サービス「Value」は、人工知能が物件の価格推定をおこないます。 物件の価格決定にディープラーニングの技術を利用しています。

統計的手法でプロの評価をおこなう従来の手法では、判断の精度が80%~85%と言われていました。 しかし、イタンジが開発した成約価格を推定する人工知能は、従来の精度を大きく上回る94%を記録します。

ロボティクス

4. Pepper(Softbank)

http://www.softbank.jp/robot/

ニューラルネットワークで豊かな感情を。

Softbankが提供するロボット「Pepper」は、 内分泌型多層ニューラルネットワークと呼ばれる特殊なニューラルネットを用いて「感情表現」を実現しています。

この感情表現システムが生かせる接客や受付など、様々な用途で1000社以上がPepperを導入しています。

自動車

5. model S(Tesla Motors)

https://www.tesla.com/jp/

ドライバーを危険から守る運転支援AI。

「model S」はTesla Motorsが販売する電気自動車です。 このmodel Sには、レベル2(加速・操舵・制動の複数を担う)の運転支援技術が搭載されています。 その技術はにはディープラーニングの技術が利用されています。

現状ではドライバーが運転の監視操作のもと、運転中に潜む危険な瞬間を人工知能がカバーします。 今後さらに発展し、自動運転へ近づいていくでしょう。

日本では、トヨタが自動運転のためのディープラーニングの研究を進めています

農業

6. Descartes labs

http://www.descarteslabs.com/

作物生産予測をより細かく、頻繁に、正確に。

Descartes labsは衛星画像のデータを分析し、有意なデータを取り出すサービスを提供しています。 ディープラーニングの技術を用いて画像を解析し、作物の生産予測をおこないます。 画像解析から得られるデータは、国が発表する各作物の栽培や輸出入に関するデータよりも詳細で、早く、かつ正確です。

すでに、米国農務省よりも早く米国のトウモロコシ生産高を予測するなどの成果を上げています。

環境改善

7. タカノメ(ピリカ)

http://research.pirika.org/

人工知能でポイ捨てのないセカイを。

「タカノメ」はピリカが提供するポイ捨てを撲滅するためのシステムです。 撮影した路上の写真から、ディープラーニングの技術を用いた画像解析によって、ゴミがどこに落ちているかや、その種類までも詳細に特定することができます。

東京オリンピック会場におけるポイ捨て深刻度調査では、オリンピック会場予定地におけるポイ捨ての懸念される地域の調査、ヒートマップによる可視化を実現しています。

医療・薬品

8. Enlitic

http://www.enlitic.com/

最先端のディープラーニング技術を、医学領域へ。

Enlitic社では、ディープラーニングを医療データに応用したシステムを開発しています。 レントゲン写真、MRI、CTスキャン、顕微鏡写真などのデータを解析し、検査結果に悪性腫瘍あるかなどを判定します。 あらゆる病気の可能性を高速に判定することが可能になります。

同社のベンチマークテストでは、X線画像から0.01%ほどの大きさの骨折の検出にも成功しています。

9. Deep Genomics

http://www.deepgenomics.com/

精密医学や遺伝子検査を、人工知能で。

Deep Genomicsはディープラーニングを利用した遺伝子変異の解析システムです。 細胞が遺伝子を読み取って生体分子をつくるモデルを生成し、その遺伝子の変異による影響を推測するシステムを提供します。 同社は未知の遺伝子変異が引き起こす病気の原因推測にこれを利用しています。

10. Atomwise

http://www.atomwise.com/

新薬発見は試験管からスパコンへ。

Atomwiseはニューラルネットワークの仕組みを用いて、新薬の候補物質を迅速に発見するサービスです。 既存の薬の分子構造と作用に関する何百万ものデータを学習することで、新しい症状と治療薬のペアの発見を目指しています。

まだ現場への導入はされていませんが、実現すると新薬発見の大幅なコスト削減が期待されます。

美容

11. Quantified Skin(CRIXlabs)

http://quantifiedskin.com/

あなたの肌をケアする人工知能。

CRIXlabsの提供するQuantified Skinは、物質の肌への浸透速度を求めるシステムです。 ディープラーニングの技術によって肌の画像を学習し、物資との潜在的な関係性を検出します。 実験を行うことなく、新しい物質がどの程度肌に浸透するかを推定できるため、化粧品などの新製品の開発期間を短縮することができます。

教育

12. PhotoMath(MicroBlink社)

https://photomath.net/en/

人工知能が優れた先生に。

MicroBlink社の提供するPhotoMatchは、リアルタイムに数学の問題を認識し、回答してくれるアプリです。 このアプリは、カメラで認識した数学の問題をリアルタイムで解いてくれます。ユーザがしなければならないのは写真を撮ることだけです。 現在は分数や不等式、二次方程式などに対応しています。

また、問題の解き方をステップ・バイ・ステップで教えてくれる機能もあり、今後の教育領域での活用が期待されます。

信用・セキュリティ

13. Trusting Social

https://trustingsocial.com

貸付をより早く、安く、親しみやすく。

Trusting Socialはクレジットスコアの代替案を提唱する企業です。 クレジットスコアとは、アメリカ人がローンなどを組むための信用の指標で、クレジットカードの利用履歴などによって決定します。 Trusting Socialは、この指標をもっと多角的に、インターネット的な視点からスコアリングすべきだと考えています。

ソーシャルデータ・ウェブデータ・電話代の支払い履歴などから、法人、個人が本人か・信頼できる人か。 返済できる人かという「信用」の判定をおこないます。 この「信用」の判定に、ニューラルネットワークの技術を利用します。

製造業

14. Gastrograph

https://www.gastrograph.com/

AIが飲料生産の品質管理。

ビールやコーヒー、ワインは安定した品質での製造がとても難しいと言われています。 Gastrographは飲料の製造を監視し、品質を分析するサービスです。 人工知能が製造工程をモニタし、味を左右する微量の成分量から、味の良し悪しを判定します。 味の良し悪しの判定には、ディープラーニングの技術を利用しています。

店舗運営

15. ABEJA PLATFORM(株式会社ABEJA)

https://service.abeja.asia/

人工知能を活用した店舗解析プラットフォーム。

ABEJA PLATFORMは人工知能を活用した店舗解析プラットフォームです。 実店舗にカメラ設置し、取得したデータの解析部分に、ディープラーニングを応用した技術を利用しています。

実際に店舗でも運用事例もあり、目玉賞品の売上比率が上昇するなどの成果がでています。

16. Real Life Analytics

http://www.reallifeanalytics.com/

通りかかったあなたに最適な広告を。

Real Life Analyticsは、店舗内のディスプレイに映す広告を最適化するサービスです。 ディスプレイに近づいてきた人に向けて、最適な広告を表示します。 カメラに映った人物の性別や年齢を識別する際に、ニューラルネットワークを利用しています。 数ミリ秒のうちに、その人の属性に合わせた広告を表示します。

さらに、広告が表示された際の人物の反応もリアルタイムに分析します。

Web解析

17. AIアナリスト(WACUL)

https://wacul.co.jp/

「何をすべきか」教えてくれる人工知能。

WACULの提供する「AIアナリスト」は、Google Analyticsのデータを元に、人工知能が自動でわかりやすい改善案をお届けするサービスです。 データの解析にニューラルネットワークの技術が導入されています。

アクセス解析ツールと連携すると、人工知能がデータを自動で分析し、課題の発見から改善提案までを自動で出力してくれます。

18. ニコニコ動画(株式会社ドワンゴ)

http://www.nicovideo.jp/

ニューラルネットワークで特殊な言葉を理解し、正しく分類。

株式会社ドワンゴはニコニコ動画に投稿されるコメントの解析に、ニューラルネットワークを利用しています。 従来の手法では、監視が必要な場面でサービス内のコメントが特殊性の高いものであるため、人力でコメントを監視する必要がありました。

機械学習によってコメントの監視の必要性を3段階に分類し「監視の必要なし」と判断されたコメントを除外することで、全体の75%程度のコメントを人力目視不要にすることに成功しています。

マーケティング

19. Blippar

https://blippar.com/

画像から情報へ導く、モノの検索スキャナー。

Blipparは、カメラからそこに映るモノを検索できる「モノの検索スキャナー」です。 認識したモノの関連コンテンツを解析するために、一部ディープラーニングの技術を応用しています。

すでに様々な広告で応用されており、7000万人の利用ユーザーがいる人気サービスです。

20. Affectiva

http://www.affectiva.com/

テクノロジーが人間の感情に到達したら、どうなるだろう?

Affectivaはディープラーニングと世界最大の感情データベースを用いた感情認識AIです。 消費者の反応をリアルタイムで、自然な感情を98%の精度で分類します。

すでに世界各国で400以上のブランドの感情テストに用いられています。

21. Clarifai

https://www.clarifai.com/

AIが画像や映像を理解しタグ付け。

Clarifaiは画像や映像の中身を人工知能が解析するサービスです。 AIが映っているオブジェクトを認識し、テキストタグをつけてくれます。 現在APIが利用でき、さまざまなサービスへの応用が期待されます。

画像・映像加工

22. Prisma(Prisma labs, inc.)

http://prisma-ai.com/

人工知能があなたの写真をアートに。

「Prisma」は画像フィルターアプリです。まるで画家が描いた芸術作品のように写真を加工することができます。このアプリでもニューラルネットワークの技術が用いられています。例えば「ムンクの絵」のようなフィルタは、ニューラルネットワークで「ムンクのような画像」を学習させることで実現しています。

今までの画像フィルタアプリとは一線を画す表現力、再現性から全世界で5500万ダウンロードを突破しています。

23. Magic Pony

機械学習で映像をより美しく。

Magic Ponyはニューラルネットワークを利用した画像・映像処理の人工知能です。 この技術は、類似の画像から元画像を補完することで品質を改善し、元よりも高画質、高品質な画像や映像を出力します。

同社は先日Twitter社に買収されています

音楽サービス

24. Spotify

https://www.spotify.com/

AIが新しい音楽との出会いのキューピッドに。

先日日本でのサービス開始が発表されたSpotifyでは、すでに音楽の推薦システムにディープラーニングの技術が応用されています。 従来の推薦システムでは、新曲やあまり聴かれていない楽曲は推薦されづらいという問題があり、新しい推薦システムはこの改善を実現しています。

音声認識システム

25. Google Now / Google Keyboard(Goolge)

https://www.google.com/intl/ja/landing/now/

発話をより正しく理解する、賢いAIへ。

「Google Now」の音声検索や「Google Keyboard」での音声によるテキスト入力は、同社のCloud Speech APIが使われている。Cloud Speech APIにはニューラルネットワークの技術が利用されています。 その導入の前後を比較すると、音声認識の誤認率が23%から8%へ、劇的に減少しています。

ゲーム

26. AlphaGo(Google DeepMind)

https://deepmind.com/alpha-go

あと10年かかると言われた囲碁でAIがプロに勝利。

近年チェスや将棋、囲碁などで、人工知能とプロとの対戦が大きく取り上げられています。

特に囲碁に関してはパターンが膨大で、人工知能がプロに勝つには10年かかると言われていました。 そんな矢先、世界でもトップのプロであるイ・セドル九段に対して、Googleの人工知能が4勝1敗で勝利しました。

このAlphaGoは、1000台以上のプロセッサを束ねたクラウドサーバと共に、ディープラーニングの技術が使われています。

27. 人工知能DQN(Google DeepMind)

https://deepmind.com/dqn

ゲームを何度もプレイ。どんどん上手くなる。

名前がなんとも形容しがたい人工知能「DQN」はDeepMind社が開発したコンピューターゲームをゼロから自力で学習し上達する人工知能アルゴリズムです。 画面出力とスコアは高いほど評価を高くするというパラメータを与えるだけで、「反復学習」と「反省」によってゲームのコツをつかみ上達していきます。

実際にプレイした49のゲームタイトルのうち29のタイトルで人間より高いスコアをたたき出しています。

アート・創作

28. Magenta(Google)

https://magenta.tensorflow.org/

絵かきも作曲もこなすAIアーティスト。

「Magenta」はGoogleが提供するAIによってアートを生成する研究プロジェクトです。 同社の機械学習ライブラリ「TensorFlow」を基礎として、絵画と音楽を生成する方法を学ぶアルゴリズムを開発しました。

29. Sunspring

https://www.youtube.com/watch?v=LY7x2Ihqjmc

人工知能が物語を紡ぐ時代へ。

「Sunspring」はニューラルネットワークを用いた人工知能「Benjamin」によって制作されたショートフィルムです。 BenjaminはSF映画の脚本数十本を学習し、脚本とディレクションを行いました。また、劇中曲も音楽も制作しています。

内容は一見支離滅裂ですが、物語を人工知能が作る未来がかいま見えるのではないでしょうか。

30. 賢人降臨(クエリーアイ)

http://queryeye.com/

国内初?人工知能が書籍を出版。

先日、株式会社クエリーアイの人工知能「零」が執筆した書籍が出版されました。 人工知能が執筆した商用書籍は、これが国内初と思われます。 AI福沢諭吉「学問のすゝめ」、新渡戸稲造「自警録」の2冊をディープラーニングを用いて学習し、この本を執筆しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 一口にニューラルネットワークと言っても、その用途は様々であることがご理解いただけたかと思います。 また、実用に関して、ディープラーニングが非常に重要な要素技術であることがわかります。

そして今後はさらに、ニューラルネットワーク、ディープラーニングの応用が加速していくことでしょう。

さて、あなたならこの技術、どんなふうに使いますか?